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今回は、いろんな音源から 1枚のCD をつくるときに、音量をそろえる手順のメモ。

参 考

CD そのものの音量を大きくしたい(音量を上げたい)場合は、こちらの記事を参考にしてください → 「音楽CD をつくるとき音量をそろえる(あるいは CD の音量を上げる) : MP3Gain 編

ドライブ用に、軽快な音楽だけを集めてミックスCD をつくるとか、好きなアーティストの好きな曲だけ集めてマイ・ベストCD をつくるとか、PC で音楽CD をつくることがあると思う。でも、そんなCD を聞いていると、曲ごとに音量が変わって、いちいち音量ツマミを回して調整したくなることがある。

今回のメモでは、SoundEngine Free というフリーソフトを使って、楽曲ごとに異なる音量を、一定の音量にそろえる。

1. SoundEngine Free

SoundEngine Free
SoundEngine Free

SoundEngine Free」は、株式会社コードリウムが開発・配布している音楽編集・音声録音フリーソフト。以前からあたしは、ことあるごと(*1)にお世話になっています m(_ _)m

国産ソフトなので、メニュー表記などは(あたりまえだけれど)日本語だ。公式サイトには、ヘルプはもちろん、豆知識や用語解説まである。関連サイト「ヘルプカフェ」には、レッスン動画や音楽素材(無料)まである。音声の編集にまったくのシロウトなあたしでさえ、最低限の使いかたができる、優秀で親切で有名なフリーソフトなのである。2013年には、高校の教科書に載ったらしい。

*1
動画に、ICレコーダで同時収録した音声をかぶせるとか、ICレコーダで録音した会議の内容を編集して短くするとか、屋外で収録した動画や音声のノイズを低減するとか…、そんなジミなお仕事。意外に多くある。

2. 音量をそろえる:準備と概要

2-1. 準備

SoundEngine Free」が入力できるファイル形式は、「*.wav」「*.ogg」「*.csv」の 3種類しかない。つまり、PC や メディアプレイヤーで扱う「*.mp3」が読めないので、先に音源を「wav」に変換しておく。変換には(フリーソフトもあるけれど)、フリーのWebツール「オンラインオーディオコンバーター」が、使いやすくてオススメだ。くわしくは、本ブログの【オーディオファイルを変換するWebツール:オンラインオーディオコンバーター】を参照してほしい。

2-2. 概要

SoundEngine Free」を使って、一定の音量にそろえる操作の概要は、以下のとおり。

  1. 音源をノーマライズする(音質を変えずに音量を上げる)
  2. 音源の音量を圧縮する(音量のバラつきを抑える)
  3. 音源をオートマキシマイズする(一定の音量に音量調整する)
  4. 上記 1.から3.を、すべての音源について繰り返す

3. 音量をそろえる:SoundEngine Free を使う

3-1. 音源をノーマライズする

まず、「ノーマライズ」処理で、音圧や音の歪みが発生しないレベルまで、音量を上げる。

  1. SoundEngine Free を起動する
  2. 音源ファイルを開く
  3. 「音量」メニューを開いて、「ノーマライズ(正規化)」を選択する(下図)

    SoundEngine Free (ノーマライズ)
    SoundEngine Free
    (ノーマライズ)

3-2. 音源の音量を圧縮する

次に、聴きやすくするため、「コンプレッサー」処理で音のバラつきを抑える。スタジオ録音した未処理の楽曲や、ライブ録音した楽曲などの場合に有効だと思う。また、CD などの、すでにマスタリングされた楽曲にはあまり意味がないはずなので、この処理はしなくてもよい。

この処理では、聞きなれない単語がたくさん並ぶダイアログボックスが表示されるけれど、親切なことに、「ライブラリー」リストボックスには、すでにジャンルに応じた設定がいくつか揃っている。今回は、音源のジャンルが複数あるので、「マスターコンプレッサー」を選択した。ここは、自分の用途に合わせた設定を選択してほしい。

  1. 「音量」メニューを開いて、「コンプレッサー(音量圧縮)」を選択する(下図)

    SoundEngine Free (コンプレッサー)
    SoundEngine Free
    (コンプレッサー)
  2. 「コンプレッサー(音量圧縮)」ダイアログで、「ライブラリ」リストボックスを開いて、「マスターコンプレッサー」を選択する(下図)

    SoundEngine Free (「コンプレッサー」ダイアログボックス)
    SoundEngine Free
    (「コンプレッサー」ダイアログボックス)
  3. 「選択範囲のみ」のチェックがはずれていることを確認して、「OK」ボタンをクリックする

3-3. 音源をオートマキシマイズする

最後に、「オートマキシマイズ」で、音量を上げる(場合によっては下げる)。レベル(どこまで上げるか)は、目的や楽曲のジャンルによって異なるはずだけれど、目安として、「-12dB」か「-13dB」くらいがよい思う。あまり上げすぎても、再生機器に良くないし、聴きづらくなることもある。

「音量」メニューを開いて、「オートマキシマイズ」を選択する(下図)

SoundEngine Free (オートマキシマイズ)
SoundEngine Free
(オートマキシマイズ)

「オートマキシマイズ」ダイアログで、「ライブラリ」リストボックスを開いて、「-13dB(ソフトJ-POP)」を選択する(下図)

SoundEngine Free (「オートマキシマイズ」ダイアログボックス)
SoundEngine Free
(「オートマキシマイズ」ダイアログボックス)

下図は、最終的にできあがった音源の波形だ。手順 3-1. と比べると、波形が変わっているのがわかると思う。

SoundEngine Free (音量調整後の例)
SoundEngine Free
(音量調整後の例)

4. オマケ:余分な無音部分を切り取る

ついでなので、楽曲が始まるまでの時間を調整して、ほぼ同じ長さにしておくとよいと思う。メドレーや、ビデオのBGMなどは別にして、いくつかの曲をまとめた CD の場合、曲と曲の間にはある程度の間隔は必要だ。

ここでは、出だしの無音を 1秒にする。

操作はカンタンで、切り取りたい無音部分を選択して「編集」メニューの「切り取り」を選択するか、または「Delete」キーを押す。

無音部分を選択する
無音部分を選択する
「編集」メニューの「切り取り」を選択
「編集」メニューの「切り取り」を選択
無音部分が およそ 1秒になった
無音部分が およそ 1秒になった

楽曲の最後も、同様の操作で、無音部分の長さを調整しておこう。

無音部分を長くしたいときは、「編集」メニューの「無音」で、前または後(あるいは両方)に無音を追加できる。

5. まとめ

残念ながら SoundEngine Free は、Windows OS 版だけがリリースされていて、Mac OS 版や Linux 版はない。

この記事ででてきた聞きなれない用語も、丁寧に解説されているので、以下にリンクしておく。